相手の奥さんに不倫の事実を伝えるべきか。

※前回からの続き 

付き合っていた人が、実は結婚していた。
自分でも知らないうちに不倫をしてしまっていた。だまされた恋だった。
それが分かった時、その事実はどこまで伝えたらいいんだろう。
 
友達のEは、結婚している事実を聞いて、しばらくしてMさんとは別れた。
別れの日、その席に私も同席した。
 
Eが「ひとりだと、泣いてしまって何も言えなくなりそうだから…」って。

Eはいろいろ言いたいこともあったと思う。
でも、多くは言わなかった。
 
「ずっとずっと信じていたんだよ。ずっと信じてた。楽しかった。しあわせだった。それなのにこんなのってないよ」

これがEの最後の言葉だった。
 
Eは彼とその後きっぱり別れた。
別れたことに後悔はしてなかったけど、
けど、違うことで悩みが始まったんだ。
 
彼の奥さんは、Mが他の女の人と付き合っていたこと知らなかったのかな。
ほとんどの週末にいないことも、クリスマスにいないことも、
時々旅行に行くことも、ほとんどの日が外食っていうことも、
仕事って思っていたのかな…。
 
Mさんの奥さんは、何も知らなかったのか。
私もこれは不思議に思った。
 
Eが不倫だって気づかないほど、頻繁に会っていたふたり。
いっしょに住んでいる奥さんは、おかしいと思わないんだろうか。
夫を問い詰めることはしなかったんだろうか。
 
もしかしたら奥さんは、知っていた?
知っていながら行動を黙って見ていた?
 
Eは、奥さんがこの事実を知らないでいたとしたら、
このままでいいんだろうかって考えたんだ。
 
自分の夫の裏切りを、ウソを知らないで生きていくことが
奥さんにとってしあわせなんだろうかって。
 
「私、奥さんに事実を言った方がいいのかな?」
 
私は、何も言えなかった。
決めるのはEだし、これは誰も答えは出せないと思ったから。
 
自分の夫の不倫を知らないで、だまされ続けていることがいいことなのか、
それとも事実を知った方がいいのか。
 
どっちがしあわせなんだろう。
 
自分が奥さんの立場だったら、
本当のことを知りたい?それとも何も知らないで生きていきたい?
 
私だったら…。
 
できることなら知らないでいたい。
でも、そんな人をだますような相手といっしょにいることは、果たしてしあわせなのか?
 
分からない。答えが出ない。
結果としてEは、奥さんには事実を伝えなかった。
 
奥さん知っているかもしれないし。
それに、今さらそんなこと言っても、どうにかなることもないし。
もう私には関係ないことだから。
 
これが、Eの出した結論。
 
そして、
それに…、
それに何も知らないで奥さんがかわいそうって思っているふりして、
本当は自分は彼に復讐しようとしているのかもって思えてきちゃって。
そんな自分いやだし。

って。
 
E……。
 
私は、Eの選択は、正しい選択だったと思う。
人を傷つける選択をしなかったことは、Eにとっては良かったような気がする。
 
しあわせとか不幸って、
他の誰かが決められるものじゃないって思う。
 
自分がどう思うかだ。
 
まわりの人がいくらしあわせって思っても、
本人にとっては不幸なことはあるし、
どうみてもその状況は良くないってことでも、
本人にしたら、しあわせな状況って感じることもある。
 
だから、Mさんの奥さんが、事実を知らないことが、
いいことか、悪いことかは、彼女じゃなければ分からない。
 
そして、もし事実を知る時が来るなら、
それはEからじゃなくて、自分の夫からであった方がいいと思う。
 
その方が、奥さんの受ける傷の深さが違うような気がするから。

遠野まりこ(Toono Mariko) OFFICIAL

作家遠野まりこ(Toono Mariko)のオフィシャルサイト。「恋は終わったあともまだこんなにせつない」(大和書房)が電子書籍でも人気。また、NFTマーケットプレイスOpenSea(オープンシー)で写真のクリプトアート作品にもチャレンジ中。誰もがNFT作品をつくったり、気軽に購入することができるようになるためには、どうすればいいか考える&日々の出来事サイトです。

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