別れたのも桜の季節。再会したのも桜の季節。

桜の季節に、ある人と別れた。
そして、その人と別れてから何年か後に偶然会ってしまったのも、桜の季節だった。
 
桜好きだし、お花見はわくわくするんだけど、
別れた季節でもあるんだよなあ。
 
別れたあの夜は、
桜というより、雪やなぎの枝が真っ白ですごくきれいだった。

 でも、まさか別れた季節に再び会うなんて思わなかった。
 
それは、すごい偶然の再会で、
心の準備なんか全然できてなかったから、
私は心が立ちすくんでしまった。
 
その時私は、人といっしょに歩いていたから、立ち止まることはできなかったけど、
心は止まっていた。多分息も止まっていたと思う。
頭の中が真っ白になった。
 
隣にいる人が話しかけている言葉なんて、全然頭に入ってこなくて、
彼を見つけて、そしてすれ違う間、返事をすることができなかった。
 
少ししてから、「で、何だっけ?」って聞いたもん。
そう。彼とはすれ違っただけ。
でもふたりの距離は、数メートルだった。
 
あの人の声、はっきり聞こえた。
 
一瞬、目があって…。
多分、彼も気づいていたと思う。
 
けど、その一瞬が過ぎると、お互い何も見なかったように、
すれ違って離れていった。
 
私、その時友達とお花見に行く途中だった。
カバンの中には、ビールとお菓子が入っていて、
すごく楽しい気持ちだった。
 
会った後すぐは、驚きで動揺しちゃったけど、
桜を見ていたら、その心の揺れも忘れたけどね。
 
あーあ。
なんでこんなに時に会うだろうって思った。
まさに、別れた季節なんだもん。
 
会う前は、もしどこかであの人と会ったら、
笑顔で会釈でもしようか、それとも無視しようか、なんて考えていたのに、
実際は、言葉を失って、すれ違うことしかできなかった。
 
心の傷は、まだまだ癒えてないし、時々痛い。
 
でも、桜は好き。
満開の桜も、夜の闇にぼんやり妖艶に漂う桜も、
風にばぁーと散る桜も、みんな好き。
 
涙も散るね。

遠野まりこ(Toono Mariko) OFFICIAL

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