ひとりの孤独の中にいることで、 自分を支えていた。

失恋してどん底にいた時、心がすべてを拒否していた時期があった。
優しささえも拒否していたあの時期。
 
心がすさむって、こういうことをいうんだなって、
あの時、そう思ってた。
 
思いながらも、どうすることもできなかった。
 
彼との別れを知っている人には、優しくされると、
同情されているみたいで、みじめな気持ちになった。
 
それと、自分でもなんとなく分かっていた。
プライドみたいなものや、
親しい人ゆえへの甘えみたいな感覚。
 
失恋のことなんて全然知らない人、
仕事関係の人にも、優しくされるのがダメな時期があった。
 
失恋には全然関係ない。
雑誌の撮影の現場とかで、いろいろトラブルがあって、

バタバタしている時とか、
「大丈夫?」、「手伝おうか?」って言われるだけで、
涙が出そうになる時があった。
 
原稿の締め切りが迫っていて、
徹夜状態で原稿を書いている時に、
「無理しないで」って言われて、
ぐっと涙をこらてしまう時もあった。
 
誰も、失恋した私を励まそうしてるわけじゃないし、
助けようとしているわけでもない。
 
そんなの分かってた。
 
でも、そんなの分かっているのに、
心の中で、
「誰も私に声をかけないで。優しくしないで」
って叫んでいた。
 
変だよね。
 
心にぐっと力が入っていた。
 
そんな、心がすさんだ時期がありました。
 
ずっとじゃなかったけど。
 
失恋してから、半年ぐらいだったかな。
 
優しくされると、自分が倒れてしまいそうで、
ひとりの孤独の中にいることで、
自分を支えていた時期だったんだと思う。
 
あの頃は。

遠野まりこ(Toono Mariko) OFFICIAL

作家遠野まりこ(Toono Mariko)のオフィシャルサイト。「恋は終わったあともまだこんなにせつない」(大和書房)が電子書籍でも人気。また、NFTマーケットプレイスOpenSea(オープンシー)で写真のクリプトアート作品にもチャレンジ中。誰もがNFT作品をつくったり、気軽に購入することができるようになるためには、どうすればいいか考える&日々の出来事サイトです。

0コメント

  • 1000 / 1000